飯田 和佳(イイダ カズヨシ)
1964年長野県生まれ

令和2年3月21日に、真言宗醍醐派 修験道場 明王山空海院住職 園田長弘師より得度授戒した修験行者。

法名は長得(チョウトク)。

VEGAS、再び

2010年10月
東京銀座・数寄屋橋交差点角にあった、銀座ソニー-ビル6階のセミナールームで、
『Vegas、再び』という集合型セミナーが開催されました。

諸般の事情により,
この「Vegas、再び」セミナーの開催をもって、銀座ソニービル6階にあったセミナールームは閉館となります。

敢えて言えば、
閉館が迫っているために、どうしても「Vegas、再び」セミナーを開催する必要があったのでした。

このセミナーは2010年の10月7日・8日・21日・22日の計4日間行われました。
1回の開催時間が2時間30分のセミナーを、1日につき2回行いました。

セミナールームの定員は15人で、
各席には当時の最新機種・デスクトップ型のVAIOが用意されています。

参加費用は2万円前後だったかと思います。
高価なセミナーにも拘らず、
おかげさまで各回共に満席となりました。


そしてこの「Vegas、再び」セミナーが非常にユニークだったことは、
いわゆる一般的なセミナーで行われる、
説明する内容が予め決まっている(操作説明が主体の)セミナーでは無くて、

その場で受講生さんからご質問をいただいて、
その場でご質問にお答えし、
更にそれに関連したレクチャーをするという、
応用編的なセミナーでした。

なぜならば、
数年前に約半年間にわたり開催された、
VEGASセミナーの受講生さんに向けた、
応用編セミナーだったからです。

そしてこの「Vegas、再び」セミナーが
山梨のイイダによる、
VEGAS Proの個人レッスンを開始するきっかけとなりました。

旅立ち

2010年10月に開催した『Vegas、再び』セミナーを遡ること約1年半前のことです。

当時のソニー様には、
お客さま宅に駆けつける精鋭のサポートスタッフが
全国に約100名いました。

PCに詳しいだけでは無くて、
ネットワークとAV家電に詳しいサポートスタッフです。

この100名の中から特別に選抜された5名が、
ソニーマーケティング・本社会議室に招集されました。

統括課長I氏が私たちに熱く語りかけます。

ソニー製品の熱心なお客様の中に、
ソニーのカメラで、ソニーのPCを使って、
動画編集を楽しまれているお客様がたくさんいらっしゃる。

しかしながら、
ソニーPCのオプションとして販売しているアドビ・プレミアプロでは、
ファイルが重すぎてPCがフリーズし、編集が出来ない状態にある。

ソニーのPCでオプションとして販売しているのだから、
お客様はアドビ・プレミアプロで編集できると考えて購入して下さっている。

しかしながら、
実際にはうまく編集できないのだ!

PCの進化よりもカメラの進化が早すぎて、
より綺麗な映像を撮影できるようになったのに、
それを編集できない状況が起きている。

私は何とかして、
このような熱いソニーファンのお客様を助けたいと思う。

そして私は、
一つの解決策を見つけた。

ソニーグループの中に、
(海外ではあるが)ソニークリエイティブソフトウェアという会社がある。

この会社はVEGASというソフトを作っている。
日本国内では無名で、
SONY社員すら知らないソフトだ。

ではどうしてソニー社員が知らないのか。
それは日本の代理店がソニー(株)ではないからだ!

だがVEGASは、
世界的には名が知れ渡っている動画編集ソフトである。

何故に世界的に有名かと言えば、
世界一軽く動く動画編集ソフトだからである。

このソフトを使えば、
HDVからAVCHDに移行してきている現状に対し、
VEGASならPCがフリーズせずに編集できるはずだ。

だからハイビジョン(AVCHD)編集で困っているお客様に、
このVEGASを提案したいと思う。

しかしながら、
ソニー製の動画編集ソフトであるにもかかわらず、
おいそれとお客様には提案できない大人の事情がある。

ソニークリエイティブソフトウェア社は、
ソニーが買収した会社なのだが、
買収前の段階でVEGAS Proはさる日本の会社と代理店契約が為されている。

安易にVEGASをお客様に提案してしまうと、
その問い合わせが日本の代理店様に向かってしまう恐れがある。

それでは代理店様に多大なるご迷惑をお掛けしてしまうし、
私と代理店様との仁義が廃れてしまう。
これは絶対に避けたい。

ソニー製品をお使いの、
ハイビジョン編集でお困りになっているお客様に限定して、
VEGASを提案するよう案内を制限し、

お客様には操作方法をご案内したら、
一切の問い合わせが来ないVEGASセミナーを作りたいと考えている。

私からの要求はただ一つ、
セミナー受講後にお客様からの問い合わせが一切無くて、
受講されたお客様がハイビジョン動画編集をして、
動画作品を完成させられること!

この要求を満たせるコンテンツを作ることに、
チャレンジしたい者は手を挙げよ!

挑戦

周囲を見渡すと、
挙手していたのは私一人でした。

よし、
それではイイダよ、やってみい!

期限は3ヶ月だ。
3ヶ月後にVEGASのセミナーを開始する!

お客様へのご提案としては、
「VEGASセミナー」参加へのご案内だ。

セミナー参加料はVEGASのソフト代金(当時はVEGAS Movie Studio)と同額とし、
セミナー参加後のお土産として、
VEGAS Movie Studio Platinumをプレゼントすることにする。

その一言で、
私のVEGASマニュアル作成チャレンジが始まったのでした。

当時はソニー様のサポートスタッフとして、
アドビ・プレミアプロの出張サポートをしていましたので、
VEGASという全く知らないソフトでも、
動画編集ソフトなんだから、
似たような操作方法だろうと思って挙手したのですが・・・。

VEGASは解らない!

操作マニュアルを作るためには、
自分でサクサクと編集して、
更にはレンダリングして作品を完成させる必要があります。

そこまで使い込まなければ、
役に立つレベルのマニュアルは作れないからです。

一般的な解説書の流れに習うのであれば、
話は簡単です。

一般的な解説書の流れで、
単純に項目だけの操作説明で済むのですから。

この程度の解説であれば、
どなたでも出来てしまうでしょう。

しかし、
今回のチャレンジの要求度は、
ハンパではありません。

受講された方が自宅に帰って操作したときに、
分からないからと言って、
質問の電話が鳴らないことと、
作品が完成できることが要求レベルです。

VEGASを触り初めて2ヶ月間を過ぎるまでは、
次の言葉を呟いていました。

どうしてこうならないんだ!
VEGASはクソか!
使えないソフトだな!
ワケわかんない!
何じゃこりゃ!

期限まで刻々と時間だけが過ぎます。
なんらの糸口も見えません。
VEGASに挑んでも焦りとため息しか出ない時期が続きました。

思い込みと閃き

アドビ・プレミア、AVID、エディウス、パワーディレクターは
その操作体系がほとんど同じでした。

ですので、
イイダはVEGASをアドビ・プレミアのフローで操作していました。
「こうすればこうなるはずだ」と操作するのですが「こうならない」のです。
どれだけ時間を掛けても上手く動きません。

そんなときです。
そもそもVEGASって独自の操作体系なのでは?
アドビ・プレミアとは違うんじゃないの?
という思いが頭に閃きました。

「VEGASかVEGAS以外か」という話しです。

そこでイイダは、
アドビ・プレミアの操作方法を頭から外し、
改めてVEGASと対峙しました。

すると・・・。

来ました!
見えました!
ヤッホー!

VEGASが自分の手足のように動き始めたのです。

分かってみたら、
何のことはありません。

VEGASはVEGAS独自の操作体系を持っていたのです。

世界中の動画編集ソフトの操作体系は、
「VEGASかVEGAS以外か」なのでした。

だから、
当時の動画編集ソフトの王様である、
アドビ・プレミアの操作体系では、
VEGASは動かないわけです。

更なる熟成

VEGASセミナーの開催まで、
あと2週間と迫った頃です。

ここでイイダは更に思い付いたのです。

今回のセミナーに参加される受講者様は、
すでにアドビ・プレミアで編集されているのであるから、
一般的な操作方法の解説をしてしまうと、
イイダと同じ轍をふむ可能性が高い。

なぜならば、
無意識の思い込みがあるからです。

ということは、
イイダがミスったVEGAS理解の部分を、
敢えて深く取り扱えば、
より理解が深まりミスを防げるのでは無いかと・・・。

拍手喝采

統括課長I氏より特命の指示を受けてから3ヶ月後に、
『VEGASセミナー』は開始されました。

一ヶ月のうちの平日4日間を使い、
1回2時間30分のセミナーを1日あたり2回行いました。

これを半年間に渡って行いました。
おかげさまで毎回全15席が満席となるセミナーで、
この間の電話によるお問い合わせは1件もありませんでした。

俺たちを見捨てるのか!

ここで時間は2010年10月に戻ります。

VEGASセミナーの参加者様より、
ソニー様に更なるVEGASセミナー開催の要望が入るようになりました。

VEGASセミナーでハイビジョン(AVCHD)編集が出来るようになったお客様から、
VEGASの応用編セミナー開催の要望が殺到したのです。

そこでVEGAS応用編セミナーとして開催したのが、
2010年10月に開催された『VEGAS、再び。』セミナーだったという理由です。

ところで、
この『VEGAS、再び』セミナーを持って、
ソニーストア銀座6階のセミナールームは閉鎖されます。

せっかくVEGASが操作できるようになったのに、
VEGASのサポートを受けることは出来なくなるのか?
俺たちを見捨てるのか!

このような有り難い声を受けて誕生したのが、
ソニーストア銀座さまで始まった、
イイダのパーソナルレッスンでした。


ソニー様でのイイダによるパーソナルレッスンは、
通算でソニーストア銀座様にて4年間、
ソニーストア名古屋様にて6年間、
ソニーストア大阪様にて1年程になります。

ソニーストア様で「イイダのレッスン」を開催できる条件は、
レッスンのご予約を満席にすることでした。

 

銀座様・名古屋様のレッスン日は、
一ヶ月の内の平日5日間のみです。


大阪様のレッスン日は、
一ヶ月の内の土曜日1日のみです。

ソニーストア様の営業時間を考えると、
お一人様・100分のレッスン時間で、
銀座・名古屋様では1日に4名様が限度、
大阪様では2名様が限度となります。

それぞれの店舗で長い期間レッスンできたのは、
受講生様に格別なご支持いただいた証左であります。

ソニー様は大企業ですので、
それなりの大人の事情が存在します。

そこで、
ソニー様での「イイダのレッスン」を卒業した後には、
コロナの非常事態宣言前までは、
イイダ独自で会議室を借りてレッスンを行っていました。

おかげさまで、
個人レッスンを開始してから2022年7月現在で、
足かけ11年9ヶ月になります。

コロナ禍となった現在は、
対面でのレッスンを休止して、
リモートでのレッスンを行っています。

『ソースネクスト社様のVEGAS・60分解説シリーズ』

2015年に入り、ソニークリエイティブソフトウェア社の日本代理店が、
ソースネクスト社様に代わりました。

VEGASを販促するにあたり、
効果的な解説動画が必要だとのことで、
有り難いことにソースネクスト社様が、
イイダを探し出してお声を掛けて下さいました。

せっかく解説動画を作るなら、
ソニーストア様でのパーソナルレッスン経験を踏まえて、
PC初心者の方でもハイビジョン編集が出来て、
落とし穴に落ちない手順の解説動画を作ろうと、
ノウハウを注ぎ込んで解説させていただきました。

60分解説シリーズは全5本になりますが、
2022年7月7日現在で、
累計出荷数が99,862本となっています。

たくさんの方にご支持いただき、
心から感謝であります。

正しい方法ではなくて作品が完成する方法

2009年にVEGASの操作方法を調べ始めたときから、
正しい操作方法は大切だけれども、
正しい操作方法だけでは作品は完成しない。

動画編集する人の目的は、
正しい操作方法を覚えることでは無くて、
作品を完成させたいのだ。

そうであるとしたら、

VEGASの操作方法をレクチャーするときに、
正しい操作方法ではあるのですが、
そのまま進めば上手く行かないことが分かっているなら、
それを避けた操作方法をレクチャーしたいと考えて、
それを実践しているのが「イイダのレッスン」です。

ですから、
VEGASの操作方法をご案内するだけでは無くて、
貴方の作品を完成させるところまで、
責任を持ってレクチャーしようというのが、
「イイダのレッスン」の目的です。

人間には相性というものがあります。
「イイダのレッスン」は商いという側面を持っていますが、
受講生様に媚びてまでレッスンをしようとは考えていません。

「イイダのレッスン」は「この指とまれ」です。

「この指とまれ」に感応される貴方と、
ご縁があることを楽しみにしています。

山梨のイイダこと、
飯田和佳とはこのような男です。